15.原忠順漢詩幅


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原忠順漢詩幅(はらちゅうじゅんかんしふく)
 

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暮秋遊識名苑 暮秋 識名苑に遊ぶ
沖縄県大書記官 原忠順上る

枯柳敗荷秋巳深    枯柳敗荷秋巳深し
一泓寒水夕陽沈 一泓の寒水 夕陽沈む
留題無主流塵積 題を留むるも主無く流塵積り
付與遊人随意吟 遊人に付与す 随意の吟

(口語訳)
枯れ柳 しぼんだ荷 識名園の秋もすでに深い
ひろびろと広がる池のつめたい水を照らして夕陽がしずむ
誰が書いたかわからぬ石碑の上にちりか飛び
旅人が気ままに詩を吟ずるにまかせている
(上里賢一)

尋芳何必問群芳 芳を尋ぬるに何ぞ必ずしも群芳に問わんや
衆樂園中春事忙 衆樂園中 春事忙し
淡紅蒸日霞猶酔 淡紅日に蒸し霞猶お酔うがごとくも
軽素含風雪自香 軽素 風を含み 雪自ら香し
西蜀名流堪北面 西蜀の名流 北面するに堪え
南山貴種?東王 南山の貴種 東王を号す
宴飲坐花真有以 宴飲して花に坐するは真に似る有り
千株?又属甘裳 千株?や又甘裳に属するをや

戌子春日 衆樂園に宴し、桜花を観る
悔堂原忠順

[口語訳]
花の香をたずねるのに、どうして多くの花をさがし求める必要があろうか。ここの桜の花だけで十分であり、衆楽園には花の香にさそわれてたくさんの人々が訪れ忙しげである。
うす紅色の花が、春の日ざしを受け、春のかすみはけだるく酔っているかのよう。白い花びらが春風を含み、雪もおのずから香ばしい。
四川の名のある人たちのような立派な人たちは、みんな王の臣下であり、南山の尊い家柄の生まれのような貴人たちが王をたたえる。
桜の下に坐って宴飲するのは、それだけで楽しいものであるが、まして周の召公の善政を尊敬し親愛の情をこめて甘裳の木を人民が大切にしたように、ここの桜は人々に慕われているのだから、なおさらである。(上里賢一)


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