14.原忠順漢詩幅


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原忠順漢詩幅(はらちゅうじゅんかんしふく)
 

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清嶂環灣嵐氣稠        清嶂 湾を環りて嵐気稠し
花塵不到水亭幽        花塵 到らず 水亭幽なり 
宛然如對営丘畫        宛然として営丘の画に対するが如し
丘有清風           丘に清風有りて
恋著烟波半日留  煙波を恋いて半日留まる 

辛己夏日巡視國頭地方憩大宜味湾南里   原忠順

    辛己の夏日、国頭地方を巡視し、大宜味湾の南里に憩う 
                           原忠順
(口語訳)
 緑の山々が湾をとり囲み、山に立ちこめるもやも濃い。
 世俗のわずらわしさもなく、水辺の亭のあたりは奥深くしずかである。
 この風景に対すると、まるで営丘(地名・風景が美しい)を描いた画に向かっている気分である。
 もやのたちこめた山と海に見とれて半日留まった。(上里賢一)

辛己八月、恩召に応じて任所の沖縄県を発し、九月東京に臻り、須臾にして官を罷め、将に田に帰らんとして聊か蕪絶を賦して、前の県令鍋嶋公に呈す

曽無一事補参稽      曽て事として参稽を補することなく
解組何為噬噬臍      解組せんとして 何ぞ臍を噬むをなさん
天末遊踪鴻爪雪  天末に遊踪す 鴻爪の雪
空於去後付春泥  空しく去りて後 春泥に付さん  

(現代語訳)
 かつて書記官としてお仕えしていた頃、鍋嶋公の県政運営の参考になるような仕事は何一つとしてできなかった。
 役人を辞めるというこの時になって、後悔してみてもどうにもなるものではない。天の涯のように遠い琉球に足を踏み入れたが、それは白鳥が雪の上に残した足跡のように。
 今はそれも春の日ざしのもとでとけて無くなろうとしているだろう。(まことに人の行ないなどというものは、一時的なものではかないものです)(上里賢一)


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